「異世界の不思議な友達」その12「妖精マサボー」

雪猫・ケインのタワーリング・インフェルノ。

「はーーーっ!」
雪猫・ケインは蛇王の方に向かって走りながら、呪文を唱えた。
「シンボルストーン・ライド・オン!」
ズーーーン!
青いひし形の石がケインの目の前に現れた。

ズオオオオ
「何人も束になってかかっても、無駄じゃあ!」
蛇王が牙を向けてケインに向かったそのとき、ケインの全身からものすごい冷気が出てきた。
「うおりゃあああ!」

ケインは冷気のみなぎった拳を地面に叩きつけた。
「タワーリング・インフェルノ!」
ズガガガガガッ
アイスピックのような氷が地面から出現し、蛇王に向かっていった。


闇を突き抜ける『氷の塔』輝く氷の剣。

ずどどどどど!!!
氷の結晶が蛇王に襲いかかる!!
「剣よ、彼らのために輝き給え!」
淡い光は剣先に集まり、大きな光に変わっていった。


捕らえられた妖精マサボー

その頃、妖精マサボーが悪夢の城に捕らえられてた…
「くそっ、ここは何処だ!縄を解け!」
マサボーが必死にもがいていると、向こうから誰かやってきた。
「ふっふっふっ…」

下ろしてくれないか、はってむさん。

「はははは悪夢の城かと思った?騙されとるの?」
はってむがマサボーの前で無邪気に笑っていた。
(てめええええ!)
「ここはわしの店じゃよ」
(店?)
「そうじゃ、『スナックはってむ』じゃおぬしらも遊びに来たらええじゃんか、ほれ酒もあるぞよ!」
(そうだな、じゃあ、行こうか…ってコラー!)
いつの間にかはってむはマサボーを抱えていた。
(どうでもいいけど下ろしてくんねえかなあ)

ドカッ、バスッ、ドコォッ!
はってむは周りの皆からぼこぼこに殴られた。
「何やってんだ!じいさん!こんな非常時に!」
雷猫・サンダーがものすごい形相で、雷落し(いかずちおとし=雷猫一族が悪事を起こした者に天誅を加える技)の構えを見せていた。

「はってむさん、その子だれ?」
タマがはってむに抱えられているマサボーを指差していた。
「あ、あん?この子はいつの間にか傍に…」
はってむは慌てて、マサボーを下に下ろした。

「君、どうしてここにいるの?」
「僕は城から逃げてきたものです」
マサボーが話し始めた。


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