ヴオオオオオ…
猫型宇宙人達は、どろどろとした闇のようなオーラに囲まれていた。人志たちのほうからやっと彼らの姿が確認できた。
「人志さん!あそこに邪悪な魔物の影が!」
「よし、わかった。そうだ、ヘンリー。君の『開花していない能力を開花させる魔法』を『やつら』にかけてやってくれ!」
「はい。」
「さてと…」
「見ろー!わしの究極マジックショーじゃぁぁー!」
突然、はってむが大声を上げた。
バシッ
消しゴム君がはってむの顔を足蹴した。
「なにをするんじゃ!消しゴム君!」
「ヘンリーたちの邪魔しちゃ駄目だよ!」
「はってむさん、真面目にやってくれ」
消しゴム君と人志の言葉にはってむはしょげてしまった。
グオン、グオン、グオン…
透明猫・レスの結界は機械のような音を上げていた。
「ケッ…結界を作ることで時間稼ぎをしようって訳か…その程度の魔力で俺を跳ね返すなんて甘いぞ!」
バリリリリリ!
「ぐおっ!」
ナイトメアが結界に向かって衝撃波を撃つと、レスの顔がゆがんだ。
「レス!」
「ハッ、少しは根性あるようだな…だが、耐えられるかな!ハーッ!!」
バリバリバリ!
「うわーっ!」
ナイトメアの衝撃波にレスが苦しんでいると、風船猫・タマが後ろから叫んだ。
「レス、僕もやるよ!」
「やめろ!奴らの力は尋常じゃない!」
レスの制止も聞かず、タマは自らのシンボルストーンを発動した。
「シンボルストーン、ライド・オン!」
カーーーーーン!!
真珠玉のような白い石がタマの手の甲から現れ、たちまち白い光が辺りを包んだ。
「ぐ、グワッ!」
その光に蛇王が苦しみだしたのだ。
「我が闇を消すほどの『白き光』!こ、こやつをひっとらえろ!」
蛇王がナイトメアにタマを捕らえるよう命令した。
グオオオッ
無数の闇が結界を突き抜け、タマを捕らえようとしていた。
「危ない!!」
「ナイトメア!!やめろーーーーっ!!」
ケムケムが氷の結界から出ようとするのをヘンリーが止めた。
「ケムケム、いけない!!行っちゃダメだ!!」
「オレはあんた達を命に代えても守ると誓ったんだ!!もう誰も危険な目に遭わせられないよ!!」
ケムケムはそう言うと、ヘンリーの制止を振り切って結界を飛び出した。
タマを捕らえようとしているナイトメア目掛けて、ケムケムは右手から電撃を発射した。
バリバリバリ!
「ぎゃあーーーーーっ!!」
背中に電撃を受けたナイトメアは地面に倒れたが、電撃を受けた部分が煙を燻らせている程度で息の根を止めるまでには至っていなかった。
「ナイトメア!!その人達に手を出すな!!お前の相手はオレだ!!」
「こしゃくな!!」
「蛇王!!この妖精の小僧を食い殺せ!!」
「ぐふふふふ…本当は神の肉が食いたいところだが、取り合えずこいつで我慢するか…」
「行くぞ!!」
ケムケムは剣を片手に蛇王に向かって飛び上がった。
「だあーっ!」
ケムケムは自分の剣を構え、蛇王の顔に振り下ろした。蛇王はいとも簡単にケムケムを跳ね返した。だが、ケムケムは倒されても倒されても何度も立ち上がった。
「この森やみんなを取り戻すために、簡単に倒れてたまるか!」
「人志くん!」
「みんな!」
猫型宇宙人は人志たちの元に駆け寄った。
「蛇王はとてつもないパワーを秘めている、誰か援護を!」
透明猫・レスが叫んだ時、雪猫・ケインが前に出た。そして、ヘンリーにこう言った。
「あんた、氷の力を持っているんだな。俺も同じ力を持っている、俺もあんたと一緒にあいつを援護する!」
「頼みます!」
「分かった!」
ケインとヘンリーは初対面にもかかわらず、2人同時に蛇王の前に向かった。