「異世界の不思議な友達」・その4「はってむの5色の手袋」

何を隠している?

ケーサツカンに指摘されてないのに動揺するはってむ。何かを隠してる様子だった。
「そこの爺さん!何を隠している!?」
「いや…別に…」
「見せなさい!」
ケーサツカンははってむの手から無理やり何かを奪った。

何だ?この写真は?呪文を唱えるはってむ。この部屋は?

「写真?これはA-chanさんサイトの一部始終ではないか!いつの間にこんなもん撮ったんだ!?」
「お茶の間に…床の間に…」
なぜ、ここでは初登場のケーサツカンがA-chanさんのサイトのことを知っているのだろう…そんなこと言っている場合ではない!

ケーサツカンにヤバイ写真を見つけられ何をどうしていいか分からなくなったはってむは不思議な呪文を唱えた。
「てぶくろろんろんめんたんぴん!」


5色の手袋?

呪文を唱えたら五色の手袋がはってむの前に出現した。
でも、何故かはってむを指差している。
「行け!手袋!」


はってむの手袋を見て、ぼけて突っ込む2人。

「な、なにやらデ●レン●ャーみたいなのが出てきたな。丁度5個あるし。でも、使うとしたら1つだけ余るよなぁ…」
人志がそんなことを言っていると、ヘンリーは何やら嫌そうな顔をした。
「どうかしたか?」
「あれって攻撃ですよね?だとしたらこの暑い中手袋見るのって暑苦しいですよね…」
「そう言うあんたもながそで着ててすっげー暑そう」

ミサイル、発射!

はってむの5色の手袋がケーサツカンめがけて飛んできた。
突然のことに狼狽したケーサツカンだったが、
「ぬぬっ!バテレンの使いめ!ミサイル、発射ー!」

バカッ
ケーサツカンのひじが開き、腕の中から銀色のミサイルが飛び出した。
(バテレンの使いって…あんた、江戸時代の人間か!)
言っておくがケーサツカンは人間でなく、ロボットである。念のため。
はってむの手袋の運命はいかに?


ミサイルを受け止めた!

「ふん!そんなもん!」
手袋赤と手袋青はケーサツカンのミサイルを素手で(というより体全体)で受け止めた!
ガシッ
「ば、バカな!」
自分のミサイルを受け止められたケーサツカンは顔面蒼白となった。

パンチを食らえ!

さらに手袋緑と手袋黄が拳の形になりケーサツカンに襲い掛かる!
「おりゃああああ!!」
緑と黄の手袋はケーサツカンの両頬にアッパーをお見舞いした。
「グアッ!」

「お返しだ!」
そして、赤と青の手袋はミサイルを素手で、もとい、体全体で投げ返した。
ゴオオオオッ、ドカーーン!
「…」
哀れ、ケーサツカンは真っ黒こげとなった。

指圧をする手袋ピンク。

人志とヘンリーのもとにはピンクの手袋が残っていた。
「あの、マッサージいかがですか?横になってくださいませ」
「あ、こりゃどうも」
人志は言われるがままにアスファルトにうつ伏せになった。

「うまいなぁ、あ、ここも頼むよ」
「褒めて頂けて光栄です」


「ちょっと人志さん、マッサージも良いですけど、ボクを元の世界に戻すという問題はどうなるんですか?」
「あっ、忘れてた!!」
人志は慌てて起き上がると、頭を掻きながらヘンリーに頭を下げた。
(本当にこの人達をあてにして、大丈夫なんだろうか……?)
一抹の不安を覚え始めるヘンリーであったが、その時誰かが声を掛けて来た。
「ボクに任せて……」
「キミは…さっきの消しゴム君?!」


どうやって?元に戻るの?

「キミ、ボクを元の世界に戻してくれると言ったけど、一体……どうやって?」

「君をこの世界に呼んだ人がいるんだ。」
ケシゴム君は真剣な表情で話し始めた。
「この世界、特にこのあたりでは謎の怪事件がおこるでしょう?人が虎になったりとか妖怪が出てくるとか。それと関係が有るんだ。まだここまでしかわかってないけど、元の世界に帰れる方法は絶対に有るんだ。ただ少し時間が必要なんだ。そうだな、一週間ぐらい待っていてほしいんだ。それまでこの世界でゆっくりしていて下さい。」
「君はすごいな。人は(人ではないけれど)見かけによらないね。」
人志が褒めるとケシゴム君は真っ赤な顔でニッと笑った。


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