「少年よ、お前は国に帰えれんくて困っとるようじゃな、その願いわしが叶えよう」
「おじいさん、誰?」
2人の後ろには言葉に少し訛りがある老人が立っていた。
「スウェーデンの魔術師はってむじゃ」
「スウェーデン?でものぼりの文字ひらがなだぜ」
人志のツッコミもものともせず、はってむはヘンリーに手をかざした!
「ぬううううううう」
「なんか胡散臭くないか?」
「あのおじさん誰ですか?」
人志はエルとルビに質問攻めにあい、困惑していた。
「そ、そんなの知るかよ!」
はってむがヘンリーに手かざしをした、その時、なんとはってむの耳が大きくなった!
「うわーすごいよおじいさん!」
思わず拍手するヘンリーをよそに「くだらねぇ〜」と見つめる人志はヘンリーに拍手したくなった。なぜなら本当に魔法が使えるのだから。
「おじいさんなら絶対僕を元の世界に帰す事が出来るんでしょう?最初はちょっと変な人と思ったけど凄腕の魔法使いだったんですね!」
ヘンリーは尊敬のまなざしではってむを見つめていた。
はってむはとっても困り、人志に視線で訴えた。
『助けてくれ戦士殿…』
『知るかよ。』
ヘンリーの頭上のカラスは「ばか〜」と鳴いた。
「ぼ…ぼくが…助けて…あ…あげるよ…」
「へ?」
足元の方から声がしたので、皆は下を向いた。小さなケシゴムがもじもじしながら立っていた。
「だから!僕がヘンリーさんを元の世界に戻したあげるの!」
「…魔法使いごっこ?」
はってむは胡散臭そうな表情でケシゴム君を見ていた。
「ちがう!」
「…きみが?無理だよ」
「できるの!」
ケシゴム君はムキになっていたが、皆は信じてくれなかった。
人志達が困っていると、上からミサイルのような音が聞こえてきた。
キイイイイ〜〜ン!
(げっ、厄介な奴がやってきた…)
それは人志たちのもとに降りてきて、大きな声で怒鳴った。
「我輩は警察官ロボット、ケーサツカンだ!」
「あの人は誰ですか?」
はってむが人志に聞いた。
「あいつは、警察官ロボットなんだけど、あまりの正義感の強さに周りが迷惑しているんだ…早く立ち去った方がいいぞ!」
人志が耳打ちをしていると、ケーサツカンが再び怒鳴り始めた。
「こら!そこの緑色の髪の少年!なんて格好だ!不良か?」
(髪染めている奴は今そこらじゅうにいるだろ…)
人志はケーサツカンの言葉に憮然とした。
彼は次にヘンリーに矛先を向けた。
「金髪の少年、背中に背負っている剣を見せてみろ!」
「えっ?」
(ま、まずい!)
人志達は顔面蒼白になった。
このままではケーサツカンに有無を言わさず逮捕されてしまう!