マサボーレンジャー達が戦っている頃、童馬はホレボレの矢を祖父・芥川博士に分析してもらう為、人志とケムゾウと共に自宅の芥川研究所に向かっていた。
「ジイちゃん、大変だ!!今、町中がとんでもない事に……」
「知っておるよ。ホレボレの矢の事じゃろ?」
「あれ?博士、知ってたの?」
「ああ、今この人がホレボレの矢の効力を無効にする解毒剤を持って来て下さったんだよ」
芥川博士が指した方向には、一人の見知らぬ白衣の男が立っていた。
何処かの宗教団体の信者だろうか?それとも白衣を着て薬の入った試験管などを持っているところからすると、何処かのワクチンの研究施設の所員だろうか?ケムゾウが胡散臭そうに男に尋ねた。
「アンタ、何者だ?」
「名乗る程の者ではありません。ただ、ワルワル団と戦う者とだけ覚えておいて下さい」
怪しい!!
この男、本当に信用して良いのだろうか?三人が疑いの目を男に向けている、その時であった。
ホレボレの矢で狂わされたケムゾウの常連達が、研究室に押し寄せて来た。
「ケムマキく〜ん♪こんな所に居たの〜♪」
「拙者から逃げてはいかんでござるよ、ニンニン♪」
「ワシと一緒に良い事しよう、イヒヒヒヒ……」
「ケムマキく〜ん♪遊びましょ〜♪」
「だああああっっ!!お前ら、どうやって嗅ぎ付けて来た!?」
実に不思議である。
「みなさん!今こそ、この薬を試す時です!見ていて下さい!!」
白衣の男は、薬の入った試験管を常連の足元目掛けて投げ付けた。
ガチャン!!シューーーーーッ!!
床にこぼれた薬品は蒸気となって部屋中に広がった。
「???ここは何処?」
「ワシャ、何をしとったんじゃ?」
「ニントモ、カントモ???」
薬の蒸気を吸ったケムゾウの常連達は、正気に戻った。白衣の男が敵では無い事を知った人志は、男の手を取り感謝の意を表した。
「ワルワル団と戦う人さん!!ありがとう!!あなたはオレ達の味方だったんですね!!オレ達は度重なるワルワル団の陰謀の為に、人を信じるという事を忘れていました。でも、あなたのお陰で大切な物を失わずに済みました」
「解かって頂けて嬉しいです」
(オイオイ、これじゃ殆どキ●肉マンのノリじゃねえか…)
ケムゾウは密かに思った。
「そ、それじゃ」
「あのー!がんばってください」
「…」
戦う人は、人志の言葉に照れくさそうにガッツポーズをとり、爽やかに去っていった。
これでホレボレに狂わされた人々は元に戻る。後は怪人を倒すだけである。頼むぞ!マサボーレンジャー!!
一方、マサボレンジャーはピンチであった。
ボンドーは、赤マサボーと青マサボーのダブルキックを両腕で片方ずつ受け止めた。
「お、俺たちのキックが…」
「ブオオオンドオオオ!そんな蹴りは効かぬわ!」
「デヤー!」
ボンドーは手を払い、2人を転倒させた。
続いてボンドーは頭のキャップを外し「ボンド」を桃マサボーめがけて放出した。
「フン!そんなもの、当らないわ!」
桃マサボーはジャンプし、白いボンドをかわした。
「ぬかしたな!小娘!」
ところが、水のようなボンドが一瞬のうちにしてゴムのようになり、桃マサボーの足を引っかけたのだ。
「な、何?」
「どうだ!桃マサボー、動けまい!」
「くやしい」
ボンドーは頭のボンドをするすると引っ張った。桃マサボーは足を縛られた状態で引きずられている。
「きゃああああ!」
「桃マサボー!」
「はははは!」
危うし!マサボレンジャー!