「恋の矢降る?ホレボレ、現る」その2

様子が変だ?スタンガン、始動!

人志が変身してマサボレンジャーの許へ駆けつけようとした時、青マサボーが赤マサボーの前に立ちふさがった。

「む!誰だか知らんが赤マサボーは俺が惚れた人。指一本触れさせん!」
「青マサボー!目を覚ませ!」
後ろからミドマサボーの声がした。

「ミドマサボー、これは一体?」
「分からない、桃マサボーから話を聞いて、あわてて駆けつけたらこうなっていた!」
はたから見ると美しい友情による行為であるが、人志は違和感を感じていた。
「ひとしさん!彼の背中に何か刺さっています!あれが彼を操っているものです!」
右耳のピアスからエルの声が聞こえた。
「こ、これは…?ホレボレの矢?」


「ホレボレって、ワルワル団の幹部の?」
「これと同じだよ!」
ハテナを背負った黄マサボーがハテナの背中を指さした。
「どうする?」
人志はエルたちに声を掛けた。ルビが間をおいて答えた。
「…兎に角、ショックを与えてみるしかない」
バチバチバチ!
人志の武器用腕時計が青白い光を発し始めた。
「人志さん!何をするつもりなの?」
ミドマサボーが驚きの表情で見た。
「スタンガン、発動!」


不満丸出しの表情のビッグハンド

人志が武器用時計を構えたその時、ビッグハンドが買い物籠をぶら下げてやって来た。
彼はピョ●吉似のハテナの親友である。不満丸出しの顔でこっちに向かって歩いていた。

「ハテナ〜!買い物の途中で突然いなくなったと思ったら…なんだそのアホ面は!」
「…ひょっとしてボクの事?」
ビッグハンドの失礼極まり無い言い草に、黄マサボーがムッとして言った。
ビッグハンドはハテナに向かっていったつもりだったのだが。
「お前の事だ!!」
「ちょっとアンタ!そのピョ●吉の友達みたいだけど、黄マサボーにそっちの気は無くってよ。彼は背中に刺さってる矢のせいでおかしくなっているのよ?」
「何?」
「アンタ、この子に気があるみたいだけど、アンタの背中にも矢が刺さってるんじゃないでしょーね?」
「俺は正常だ!」
ミドマサボーも、相当失礼の極みである。その時、黄マサボーが叫んだ。

「見て、人志おにいちゃんの腕時計が!!」


ビリビリビリビリ!

人志の腕時計から、眩いばかりの電光が発射され青マサボーを直撃した。
「だあああああああっっ!!愛の目覚め〜〜〜〜♪♪」

(なーにが愛の目覚めだ…せっかくアンタを元に戻そうとしてるのに、これ以上おかしくなってどうする!!)
青マサボーの脳天気な快感の声に、人志は思わず心の中で毒づいた。
青マサボーはその場にぶっ倒れると、切れ切れに人志に向かって言葉を浴びせた。
「女男……オレの……赤マサボーに……手を出すのは……よせよ☆」
バタッ
また女男と言われた…。
人志の顔面は嘆きのあまりクシャクシャに歪んだが、最後の青マサボーのセリフ、どこかで聞いたような?

「さあ、早く背中の矢を抜きましょう」
「青マサボー、しっかりしろ!!」
マサボーレンジャー達は青マサボーの矢を抜くと、同時にハテナの背中の矢も抜いてやった。
「あれ?ここはどこ?」
「ハテナーーーーッッ!!元に戻って良かったぜーーーーっっ」
ビッグハンドはキョトンとするハテナを抱きしめ、涙ながらに言った。ミドマサボーは密かに思った。
「この子、やっぱりその気があるわ……」

「なんかいったか?ねえちゃん」
ビッグハンドがものすごい形相で睨み付けた。
「いーえ!何でもないわ!」

さて、この場は一段落付いたが、他の場所はどうなっているだろう?


ボンドー、参上!

バババババーン、ババババーンババーン…。
「ブオオオンドオオオオ!俺様はワルワル団のボンドー様だ!やれー!」
ガガガガガ!

なぜか007のテーマにのってやってきたボンドーたち。
なぜ、007かって?007…ジェームス・ボンド…ボンドー…。

「オホホホホ、存分に暴れなさい!」
ホレボレはその様子を見て高笑いした。
「ホレボレ、おぬしもワルよのぉ」
彼女と一緒にいたアウン軍曹は越●屋のような台詞を漏らした。
「私の矢で人間達を混乱させて、その隙にこのサイトをのっとる…ボンドーの潜入にまだ気づいていないようね」


どうした?2人とも?

一方、ここはA-chanさんのサイト。
芥川童馬が何やら怒りの形相で町中を走っている。ただ事では無い雰囲気である。
反対方向からはケムマキケムゾウが何やら慌てた表情で走って来る。こちらもただ事では無さそうである。
ドッシャーーーーーーン!!!!

怒り心頭の童馬。

二人は曲がり角で正面衝突した。
「馬鹿野郎!!ちゃんと前見て走りやがれ!!……何だ、芥川じゃねえか。そんなに急いでどこに行く?」
「丁度良い!お前に会いに行くつもりだったんだ!!」
「何の用だ?」
「エリカがケンジの野郎と出来ちまったんだよ!!信じられねえ事に、エリカの方からケンジに言い寄って行ったんだ!!」
「へえー。そりゃ、おめでとう
ケムマキがしれっとした表情で言い放った。

「おめでてえ訳ねえだろ!!このドアホ!!オレはエリカに昔っから惚れてるんだぞ!!
「ふーん。普段からケンカばっかりしてるみてえだが、お前案外あの子が好きなんだな
「当たりめえだ!!そこでお前に頼みがあるんだ」
「どんな事?」
「奴らの仲を引き裂くんだ!お前も協力してくれるな?」


何とかしてくれーーっ!

「人の恋路を邪魔するのは、なかなか面白そうだが…こちとら今それどころじゃねえ!見ろ!!」
ケムゾウが指差した方向には、何やら奇妙な男の集団が…。

「ケムマキく〜ん。ボク、キミに恋しちゃった♪」
「ワシャ、お前にメロメロじゃ。どうかワシの嫁さんになってくれ」
「ケムマキ氏、可愛いでござるよ。ニンニン♪」
「な、何なんだ!?あの頭のイカレた連中は!?お前に女装癖があるのは薄々感ずいてたが、まさか男に惚れられるような魅力があるとは……」
「んな訳ねえだろ!ドアホ!!あいつら今日オレに出会ってから変なんだ!」

「それで、慌てて逃げてたのか」
「頼む、芥川。奴らから匿ってくれ。お前の問題はその後何とかしてやるから……」
「ちょっと待て。連中の背中に何か妙な物が突き刺さってるぞ」
「あ、本当だ」
「そういえば、エリカの背中にも同じ物が刺さってたぞ」
「ひょっとして、これはワルワル団の陰謀かも!?」
「オレ達だけじゃ手に負えんな。良し、人志さん達に応援を頼もう」


ケムゾウと童馬が人志達のところに来たのは、ちょうど青マサボーが正気付いた時だった。
二人は彼らに、それまでの経緯を話した。

「ウーム、ホレボレめ!人様のサイトにまで迷惑を掛けおって」
「きっと二つのサイトの町中で混乱が起こってるに違いないわ」
「良し、この矢を芥川博士に分析してもらおう。矢の効力を無効にする方法を見付けだし、これ以上被害が広がらないようにするんだ」
人志たちは芥川博士の方に向かった。

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