「ぬわあああああああ!そんな固め技きかぬわああああああ!」
カワラーは固まったペンキをあっさりと砕いてしまった。
「これ?どういうこと?」
「ああ、やっぱり…」
「やっぱり?」
「コノペイント弾ハ、試作品ナノデ、強度ガヒクカッタカモシレマセン」
人志に変わって、武器用時計のコンピューターが答えた。
ズデッ
マサボレンジャーの3人はずっこけた。
「ちょわああああああああああ!」
カワラーのとび蹴りが炸裂した。
「うわーーーーーっ!」
4人はあわててよけた。カワラーの蹴りは空振りし、脚はそこにある大木に命中した。
ズズズズズズウーーーン!
「…」
カワラーの蹴りで大木1本が倒れた。
「カカカカ、俺の蹴りをまともに食らったものは、この木のように真っ二つになるぞ!」
「うっ…」
4人は無言になった。
「どうする…なすすべもないって言うことか?」
人志の言葉に武器用時計は答えた。
「彼ラヲ呼ブノダ…今スグ」
彼らとはいったい…?
人志が時計から「彼ら」に来るように呼び出した。
3分後、「彼ら」はやってきた。
「人志くーん、お待たせー!」
彼らは風船猫・タマ率いる猫型宇宙人達だった。
「人志さん、誰なの?」
「あいつら、見た目はあんなんだけど結構頼りになるよ」
人志達の思惑をよそに猫型宇宙人は勝手にしゃべり始めた。
「ねー、何か面白いことあるの?」
「遊びに来てるんじゃないんだぞ」
はしゃいでいる風船猫・タマを雷猫・サンダーがたしなめた。
「フフフフフ、タマ、面白いヤツが向こうにいるぞ」
「手荒なまねはしたくないんですが…」
今度は透明猫・レスが奇妙な声で笑い、炎猫・フレイヤが困った顔をした。
「こっちも暇じゃないんだから…で、このサイトをのっとろうとする暇なヤツは?」
雪猫・ケインが面倒くさそうに頭をかいた。
「ふ・ざ・け・る・な!!何だと?この猫達と俺と互角に勝負できるというのか?冗談も程ほどにしろ!!」
カワラーが彼らの方を見て激怒していた。
「フフフフフ、タマ、遊んでやれ」
透明猫・レスが意味深な笑いを浮かべ、タマに声を変えた。
「はーい!」
「おのれ!俺の蹴りを受けてみろ!」
風船猫・タマは軽い身のこなしでカワラーの蹴りをかわした。
「どうしたの?瓦さん?」
タマはあれだけ激しい攻撃をかわしたにもかかわらず、けろりとした顔をしていた。
「ゼーハ、ゼーハ…な、何でお前は平気なんだ?」
「フフフフフフ、こいつはすごく身が軽いんだ」
レスは独特の笑みでまた笑った。
「もう、終わり?じゃ、いくよ?」
風船猫・タマは酔拳のようなポーズをとり、叫んだ
「千手観音!」
バッ!
「わああああ!!手が増えた!ど、どれが本物の手か分からん!」
カワラーが泣き叫ぶように動揺している間に無数の手が彼に向かっていった。
「千手パンチ!」
ドッカーン
カワラーがどこかの建物の壁に激突した。
「あ、ごめん?一番、弱いのにしたのに?」
「お前は手加減を知らないやつだからな」
雷猫・サンダーがあきれた表情で答えた。
続いてケインの上段回し蹴りが炸裂!
ガッキーン!
「は、お前は口ではああいっていたが、たいしたことないな」
そういいながら、息が上がっていたカワラーだった。
「ほう?じゃあ、たいしたことにしてあげようか?」
ピリピリピリ〜!
ケインの蹴りが当たったところから、氷が出現し、カワラーは一瞬のうちに凍ってしまった。
「ギャアアアアア!」
ケインの必殺技によってカワラーは見事に凍った!
「わーい、すごいなぁ」
黄マサボーは氷の像と化したカワラーを見てはしゃいでいた。
「あっという間だったな」
人志はレスに声を掛けた。だが、レスは複雑そうな表情をした。
「…これで本当に終わったのだろうか?」
凍りついたカワラーに一本の矢が刺った!
「この矢は!?」
「この矢はどこかで…まさか、ホレボレ?」
「誰だ?それは?」
そう、これはワルワル団のホレボレの矢であった。しかし、なぜ、凍っているカワラーに刺さったのだろう?
「やれやれ、あっという間に片付けられると思ったら、予想以上にてこずったわねぇ…あんた達を甘く見てたようね」
「?!」
どこからともなくホレボレの声が聞こえてきた。
「お前、いったい何しに来た?」
人志がすごい形相で問い詰めた。
「ホホホホ…カワラーは回収するわ…用が済んだ怪人を回収するのは私の役目…」
「早ク、ソノ女ヲ止メロ!」
人志の時計が指示を与えた。
「そうはさせるか!」
「ぬわああああああああ!」
「大変!カワラーが巨大化したわ!」
「うわあ!でかい!」
「おーほほほほほほ!私の赤い矢を受けた怪人はこのように大きくなるの」
「ウワハハハハハ!お前ら、踏み潰してやるぞ!」
巨大化したカワラーはあわてる人志たちに迫ってきた。
「ほほほほ!簡単に引き下がると思ってるの?カワラー、彼らをやっつけておしまい!」
ズシン!ズシン…!
「うわあああああああ!」
絶体絶命! 危うし!ヒーロー達!
「ちょっと待ったーーー!!お前の相手はオレ達がするぜ!!」
カワラーが人志達に迫った時、後ろから声がした。
「ムムッ!!何だ、お前は!?」
カワラーが振り向くと、何とそこには一体の巨大ロボットの姿が……!!
「人志さーん、マサボーレンジャーのみんなー!!あんた達がピンチだって聞いたから駆け付けて来たぜ!!」
「ああ、その声はケムマキくん!!一体、そのロボットは?」
「人志さん、初めまして。オレ芥川童馬。このロボットはオレのジイちゃんが造ったんだ。こいつであの瓦野郎をKOしてやるぜ!!」
「人志さん、オレも兄貴達と一緒に戦うぜ!!」
「オレもやったるぜ!!何しろワルワル団には恨みがあるからな!!」
鳴呼、あの声はこの間オレを殴った幼稚園児・国生明菜!!また、あいつが来たのか……!!
人志は顔面蒼白になった。
兎にも角にも、頼れるのは君達だけだ!カワラーをやっつけてくれ!