「待ちなさい!人志さん!」
「なんだ?お前らは?」
「ミドマサボー!」
「黄マサボー!」
おお、マサボレンジャーのミドマサボーと黄マサボーが駆けつけてくれた!
人志は突然の2人の登場にまたまた驚いた。
「あ、あなた達は!?それになぜ俺の名前を?」
「私はミドマサボー、この小さい子は黄マサボーよ。あなたのことはマイッタさんから聞いているわ、ここは私達に任せて」
「ミドマサボー頼むよ!」
「こしゃくなぁ!」
カワラーが2人のマサボレンジャーに襲い掛かってきた。
「ケケケ、これでも食らえ!」
カワラーの頭から無数の瓦が飛び出した。
「ぎえーっ!あいつ!むちゃくちゃやりやがる!」
「地震、雷、火事に耐え、ゾウが踏んでもこわれない瓦!壊すことはできまい!」
ゾウが踏んでもこわれない瓦…強いのか弱いのかさっぱり分からん…と人志は思ったが、カワラーの瓦が人志めがけて飛んできた。
「は、速い!」
「ひとし!あぶない!」
「はーっ!」
ミドマサボーが腰にぶら下げていたヌンチャクを構えた。
「アチョーッ!!」
ゴバッ!!
ミドマサボーがものすごい速さでヌンチャクを振り回すと、その傍から瓦がばらばらになった。
「どうだい!ミドマサボーのヌンチャクはダイヤモンドも砕くんだぞ!」
黄マサボーが得意げに叫んだ。
ミドマサボーのヌンチャクでカワラーの瓦攻撃はあっけなく敗れた。
「このアマが!いけ!お前ら!」
「ワルワルー!」
ミドマサボーが突然、カワラーの前から姿を消した。
「ミドマサボーダブルキック!!」
ドスッ
ミドマサボーの両足が戦闘員の顔にめり込んだ。
ミドマサボーのキックで、戦闘員は気絶してしまった。
「あなたの子分もたいしたことないわね!」
「そうだ、そうだ!」
黄マサボーが挑発すると、カワラーがわなわな震えた。
「ぬぬぬぬ、言わせておけば…ええい、これを見るがいい。これを見たものは泣く子も黙るという必殺技だ」
「必殺技…なんだそれは?」
人志たちはカワラーの自信満々な表情を見て息を呑んだ。
「食らえ、ワルワル空手奥義・その1、手刀ビール斬り!」
ズバッ
カワラーはビール瓶の先っチョを手刀で割った… 。
「…」
「お前ら…何なんだその顔は」
「それのどこが奥義なの?」
「なあんだ、期待して損したわ!」
「たいしたことないじゃん!」
カワラーは3人の言葉に愕然とした。
「お前らあ!人をおちょくってんのかあ!」
「わーーーっ!」
3人がカワラーをからかっている間に、戦闘員の一人がミドマサボーの後ろに近寄ってきた。
「ワルワル…(よくもさっきはやってくれたな…)」
人志はいち早くそれに気がついた。
「危ない!ミドマサボー!」
「やあああああああ!」
バキっ!
「わる〜!」
ばたっ
戦闘員はミドマサボーの回し蹴りをまともに食らった。
「まったく油断も隙もないわね」
「きっと、ミドマサボーのスカートの中を見たかったんだよ!」
その黄マサボーの言葉にミドマサボーの表情が豹変した。
「黄マサボー!言葉を慎みなさい!」
「…」
ミドマサボーの鋭い声に黄マサボーは固まってしまった…。
(怖いぜ…このねえちゃん)
人志はミドマサボーの迫力に背筋が凍った。
突然、爆風が戦闘員をおそった!
どかあああああああん!
「ワルワル〜」
「うわああああ!」
ものすごい爆風で戦闘員は吹き飛ばされた。
「待たせたわね!みんな!」
女性の声が砂埃の中から聞こえた。
「桃マサボー参上!」
「あっ桃のおねえさん!」
「あっ桃マサボーだ!」
「何なんだ!?次から次へと出てきおって!」
彼女は桃マサボー、爆弾つくりが得意である。
「どう、私の必殺技『バラの花弁爆弾』の威力は?」
桃マサボーは得意げにバラの花弁を披露した。
「あの女、見かけによらず…」
カワラーがにやりと笑ったと思ったそのとき、カワラーが桃マサボーに向かって突進してきた。
ダダダダダダ…!
「桃のおねえさん、危ない!」
「!」
「やああああ!」
「でやああああああ!」
ドスッ!
桃マサボーは右腕でカワラーの拳を受け止めた。
「私を女だと思って甘く見たわね!こう見えても、ミドマサボーにカンフーを習ったのよ!」
しかし、カワラーは不敵な笑みを浮かべていた。
「甘く見ているのはお前の方だ!」
「何ですって!」
「どりゃああああ!」
カワラーの拳が桃マサボーの腹に命中した。
ドサッ
「桃マサボー!」
桃マサボーは腹を苦しそうに押さえていた。
例え相手が女性でも容赦しない非情のカワラー。ワルワル団は極悪集団!まさに血も涙も無い連中なのだ!
「止めだ!」
カワラーが桃マサボーに再び蹴りを入れようとしたそのとき、
「待て!!」
カワラーの脚が止まった。彼の後ろには天地の戦士=人志がいた。
「何だ、女男野郎か…止めたって無駄だ。まぁ、お前には止められんだろうが」
なおも不敵な笑みを浮かべるカワラーに、人志はにやりと笑った、そして、突然、歌いだしたのだ。
「ジャーンケン、ポン、ポン、どっちかーくす?」
「おわっ?!」
人志の歌に合わせて、カワラーの体が勝手に動き出した。
「こっちかーくす?」
このとき、カワラーの手が後ろに回った。
「な、何だ?手が?手が動かん?なぜだ?」
カワラーが狼狽したその時だった。
「あんたの負けよ、ビームフラッシュ!」
ゴバッ!ドドドドドドッ
「ぎゃああああああああ」
カワラーの顔の瓦が真っ赤な色で染まった。
人志によってペンキで固められたカワラーが彼らの目の前に突っ立っていた。
「おにいちゃん、やるじゃん」
「なかなかやるわね」
「気に入った今度、いっしょにカンフーしようよ」
「あ、あの〜、俺、こう見えてもすごい運動音痴なんだけど…」
人志は自慢にはならないが、運動全般まるで駄目の筋金入りの運動音痴だ。100メートル走は20秒台と不名誉な記録をだしてしまったくらいである。
「カワラーの動きを止めたのはこの時計のお陰なんだけどなぁ…何か嫌な予感がするなぁ」
人志がそうつぶやいたとき、時計が激しくなった。
「ビーーーーッ!警告!警告!」
「な、なんだ?」
突然のことに人志たちは困惑した。
「えっ?」
ビビビビビビ…
何かが崩れるような音が背後からしてきた。