「ヒーロー、揃い踏み?!」その1

謎の宇宙人、現る。

年度も変わり、人々が新しい生活を始める4月、早いところでは桜が咲き始めていた。
人志も無事、赤点を逃れ、高校2年に進級することができた。
「ああ、いい天気だなぁ、花見にはもってこいの季節だ」
人志がぼんやりと桜を眺めていると天使・エルが声をかけた。

「ひとしさん、高2は大事な時期ですよ…気を緩めてはいけません」
「エル、またそれかよ」
相変わらず人志にちょっかいを出す天使と悪魔だった。
「は、はは、桜は咲くときれいだけど、散るのはあっという間なんだぞ…」
人志は顔を引きつらせながら、話題を変えようと意識して空を見たときだった。

「☆○□△@*?¥〜=#%777」
ヒュウウウウ、ペタッ
タコ…の体をし、顔が人間の宇宙人が舞い降りてきた。
「ふにゃ?」
人志が間の抜けた声を上げた。
「変な声出すなよ、何だよ、急に」
悪魔・ルビが思わず驚いた。
「た、たこ…」
「たこ?」

「まさか、『パーマン』の映画のように…」
「ひとしさん!ネタばれになりますよ!」
また、突っ込みどころがずれているぞ、お前、と、人志は天使・エルの言葉にあきれながら妙なタコに近づいた。
「変わったタコだな…顔が人みたいだな…」


アウン軍曹のスーツを抱えるホレボレとタコ。

そこへ軍服を着た人形を抱えたホレボレ(「フラワー児童の逆襲」をご参照ください)がやってきた。
「おいで、タコちゃん、あなたのおうちはココでしょう。」
「○×△□?!〜」
タコは奇妙な言葉を発しながら、ホレボレの方に近づいてきた。

「あ、あいつは!こないだの!」
人志は驚愕した。
「でたな、鈴木その子!」
ルビの言葉に人志はずっこけた。
「そんな冗談言っている場合か!」

アウン軍曹とホレボレ。

タコはアウン軍曹の顔の部分に入った。そして、抜け殻だったアウン軍曹がむくりと立ち上がった。
「福禄堂の諸君、我輩はワルワル団参謀・アウン軍曹だ!ホレボレ我が分身の回収ご苦労であった」
アウン軍曹となのる男が人志達に向かって、ドスのきいた声を上げた。
天使・エルと悪魔・ルビは人志にしか見えないはずだ。
(『諸君』って言ったということは、やつにはエルたちの姿が見えるのか?なんて、威圧感だ…?)
「おほほほ、あんな事、朝食まえですわ」
ホレボレは甲高い声で思い切り笑った。

「…あ、あのタコが分身だったなんて!」
「ひとし、あのピカソ野郎、誰だ?」
「わ、わかんない…」
人志が戸惑っていたその時だった。


カワラー出現!

向こうから奇声を上げながら、戦闘員と瓦顔で空手着の怪人がやってきた。
「俺様はワルワル団のカワラーだ!割れるものなら割ってみろ!」
「それじゃあカワラーちゃんあとはよろしくね」
「カワラー健闘を祈る!」
ホレボレとアウンは去っていった。

これは大変だ!また、ワルワル団がこのサイトにやってきた!
「あの野郎…また、変な野郎、送り込んできたな…ひとし!変身だ!」
「えっ?また?」
人志は乗り気ではない。また、こんな変なヤツの相手をしなければならないとは…」
「ひとしさん!そんなこと言っている場合ですか!」
人志は2人に急かされ、変身腕時計の竜頭を押した。
ヴヴヴヴヴヴヴ
「ザ・デス・ビー・リボーン!」

カワラーに啖呵をきる天地の戦士。

「天知る、地知る、人が知る!天と地の間を護る、『天地の戦士』ただいま、見参!」
人志はカワラーの前で変身し、前に歩み寄った。
「ケケケ、お前が『天地の戦士』か。うわさには聞いてるぜ。こないだ、フラワー児童をもう少しのところで追い詰めたそうだな。」
「あれは、俺がやったんじゃない!弾丸マイッタとブラックKアンドJr兄弟が…」

人志の耳元で、天使・エルが叫んだ。
「ひとしさん!正直に言ってどうするんですか!はったりでもここは『俺がやった』と言うべきですよ!」
「本当の話じゃないか!」
「何かいったか?」
カワラーが怪訝そうな表情をした。
「何でもねぇよ!やい、かわら野郎!せっかくの高校生活をエンジョイしようとしているところでいつも邪魔ばっかりしやがって!」
「ケケケ、そんなの俺の知ったこっちゃない。アウン軍曹さまや幹部の方の命令に従っているだけだ。この女男…

前回の国生明菜(詳しくは、「フラワー児童の逆襲」をご覧ください)に続いて、また女と言われた人志=天地の戦士…人志は1度ならずとも2度も言われ、頭に血が上った。
「なんだとーーー!!」
人志はカワラーに向かっていった。
「ひとし!落ち着け!」
「ひとしさん!」


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