「クイズの道は険し!」その7「大波乱!」

出だしはともかく、アオハルは順調(?)に駒を進めていった。最初の失態はご愛嬌だったのか、それともただラッキーが続いただけなのか、アオハルは最後の1000万円に挑むところまで漕ぎ着けた。
だが、その様子を観客席から冷ややかに見つめる1つの影があった。
「いよいよ最後の問題です。葵さん、落ち着いて答えて下さいよ。では、問題…」
司会者は、問題を読み上げた。
「『青春』の意味は、次のうちどれでしょうか?A.年の若い時代、B.楽しい時代、C.清純な時代、D.青い春…」
その時、誰も気付かなかった。問題の答えを考えているアオハルに向けて、客席の影の男から怪しげな念波が発せられた事を――

背後に潜む、この男は何者なのか?

「分ったぜ!答えはD!!青い春だ!!」
え…!?(汗)
「本当にそれで良いですか?ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサー!」
ちょっと、ちょっと…!!(冷汗)
「残ねーーーーーん!!」
ガクッ!!
「正解はA!年の若い時代でした!!(広★苑にそう書いてありました:笑)」
『ふっふっふっふ・・・そう簡単に1000万を当てられてたまるか・・・』
惜しいところでリタイアしてしまったアオハルだが、一体影の男は何者なのか!?

アオハルの次の回答者は、童馬の担任・太宰治虫となった。
「これは負けられんぞ。教師として博学なところを見せんと生徒どもに馬鹿にされるからな…」
太宰の独り言を聞いた小池が、彼に話し掛けてきた。
「ほー、お宅も教師ですか。実は私もそうなんです」
「ほー、お宅もですか。これは奇遇!実は私のクラスの悪たれガキが会場に見に来ておりまして、そ奴に冷やかされる事を思うと、どうしても負けられんのです」
「またまた奇遇!実は私のクラスの性悪ガキも見に来ておるのですよ」
「お互い、問題のある生徒を抱えると苦労しますなあ…」
「そうですなあ…」
観客席ではケムゾウと童馬がそろってくしゃみをかましていた(笑)。


太宰が司会者と握手をし、解答席に座った。応援席に太宰そっくりの熟年の女性が座っていた。
「太宰さん、応援はどなたで?」
「私の母です!」
「治虫ちゃーん、がんばってー!」
「えええええええーっ!?太宰の母ちゃん??」

童馬はすっとんきょうな声を上げた。
「太宰の母ちゃんかよ…うわぁ、マザコンか〜」
童馬は大げさに太宰の母を見ながらため息を付いた。
「こらっ、芥川!お母さんの悪口を言ったな!後で説教してやる!」
「治虫ちゃん、1000万円取ってあの悪童達を見返してやるのよ!」
「誰が悪童だ!」
「静粛にっ!!『お嬢さん』!」
「あら、これはとんだ失礼を…」
太宰の母は司会者に諭され、恥ずかしそうに席に座った。


太宰先生とその母。そっくり(笑)

『これは、ますます負けられんぞ。何たって、お母さんが見てるんだから…』
太宰は緊張の面持ちで出題を待った。
「それでは問題です。第1問、漫画『鉄腕アトム』の作者は誰でしょう?A.藤子不二雄、B.手塚治虫、C.太宰治、D.川端康成…」
『ラッキー♪ワシが一番尊敬している人の問題がでたぞ…♪』
太宰は得意気に意気揚々と答えた。
「C!!太宰治!!」
…(汗)。
「C.太宰治…ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサー!!」
太宰はあくまで自信たっぷりであった(汗々)。
「残ねーーーーーん!!」
ガガーーーーン!!
「正解はB!手塚治虫でした!!太宰さん、混同してましたね?」
早くも第1問目でリタイアしたショックを隠せない太宰、司会者の突っ込みを受けながらフラフラした足取りで解答席を離れた。そんな太宰に観客席の童馬が透かさず追い討ちを掛けた。

「へっへっへ!!太宰先生よー!!『鉄腕アトム』の作者は『走れメロス』の作者と一緒なんだってなー!!オレ、初めて聞いちゃった!!」
「うるさい!!黙れ!!(赤面)」
『初っ端で自爆とはアホな奴だ…オレが手を出す手間が省けたぜ…』
影の男は呆れ顔で、その様子を見つめていた。

次の早押し問題で3人目の解答者が決まった。
「一条明!…あれっ?!一条さん」
司会者は辺りを見回したが、明の姿はなかった。その時、観客席でスポットライトが輝いた。
「あ、ああーーーっ!!あの姿は!!」


彼こそがお笑い界のホープ、桃井あきらだった。

「あっはーん、うっふーん、ちょっとだけよー♪」
 スポットライトに照らされているのは、ちょっと(かなり?)際どい赤いドレスを着た、ゴツくて浅黒い1人の美女――
「おーーーーっ!!あれは、今どき人気のオカマの子!!男のヒロイン・桃井あきら嬢!!何と、次の解答者はあの方だったようです!!」
「そうだったのか…!!通りで、どこかで見た顔だと思ったら…!!」
人志は驚きに満ちた表情で呟いた。桃井あきら――どこから見ても男の容貌でお色気をかまし、一世を風靡しているお笑い界のホープ――
「美しい…あんな綺麗な人を見ていると、喉笛に噛みつきたくなるざます!」
人志の横で例の虚弱体質の紳士が、恍惚とした目で女装の明を見ている。人志は思わずジト目になった。
『あれを美しいって、オッサン…(汗)。相手は男だぞ…おまけに喉笛に噛みつきたくなるって、吸血鬼じゃあるまいし…(汗々)』
観客に芸を振りまきながら、明も思っていた。
『くっそぉ〜〜〜〜〜っっ!!マネージャーのドアホめ!!人気稼ぎとはいえ、何でこんな場所でまで芸を売らなきゃならんのだ!?』
「あのー…桃井さん、お色気を振りまくのはその位にして、早く解答席へついて下さい(汗)」
司会者に促されて、明は大慌てで解答席についたが、一体どうなる事やら!?

(あの少年が桃井あきらだったとは…ど、どうも、こんなタイプ苦手なんだよ…)
影の男は明の姿を見て腰を抜かしていた。そのそばを風船猫・タマが通りかかった。タマはその辺で買ったタイヤキを食べていた。
「おじさん、なにしているの?席に座らないの?」
「あ、いや、おじさんは良いんだ…立って見てるほうがいいんだよ」
「どこか具合でも悪いの?あ、もしかして、おなかすいてんだ!おじさん、このタイヤキ食べなよ!」
タマは無理やり男にタイヤキをすすめた。タマの強引な行動に男は引きそうになった。タマは彼の口の中にタイヤキを押し込んだ。
「おじさん、おいしいでしょう?ね、おじさん、ネおじさーん!」
「ぎゃあああああ」


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