「クイズの道は険し!」その5「蝶のように舞い、クモのように縛る?」

座敷わらし・オールVSケムマキ兄弟

その頃、座敷わらし・オールとケムマキ兄弟は睨み合っていた。
「こんなところで道草食っている暇はないんだ。俺達も会場へ行って、総理や出場者の皆を応援しなくてはいけないしな。」
「そうはさせるか!であーっ!」
オールは自分の頭から刀を取り出し、二刀流の構えをした。
「兄貴、気をつけろよ!」
「抜かりはないぜ!」

刃を交える2人。

「お主とのお手合わせは久々だが、今日は負けんぞ!」
「こっちこそ負けてたまるか!」
果たして勝敗の行方は…?

シャキーン!
オールとケムゾウは互角だった。さすがに以前手を合わせているだけあって、お互い手の内をよく知っている。お陰でなかなか勝負がつかない。
「むむむ、やるな…わしがこの前編み出した新しい『必殺技』を出すしかないか…いくぞ!」
「?!」
バアッ
オールは万歳をした状態で刀を持ち、高く舞い上がった。
「刀変化!」
オールの刀は光を帯び始めた。それと同時にオールの体も白く輝き始めた。
「コスプレチェンジ!」
ゴオオオオッ!

「とおっ!」
オールの刀は新体操の選手が使用するリボンに変わり、それにあわせるかのようにオールの服装は着物からレオタードに変わっていた。オールは得意げにケムゾウの目の前で着地した。
「…」
「なんだ、その顔は」
「お前…そういう趣味だったんだ!」
「ハハハハ!!」
ケムゾウはオールを指差し、ケムシは腹を抱えて笑っている。オールは赤ら顔をますます紅潮させた。
「おのれ!よくも笑ったな!出でよ!戦闘員達!」
「ワルワル〜!」 ケムマキ兄弟はワルワル団の戦闘員に取り囲まれた。なんと、彼等までレオタードを身につけているでないか!
「何だ、ありゃあ!」

なんだかうれしそうなオール

ケムマキ兄弟の目の前には異様な光景が映っていた。オールは悦に入った表情でリボンの演技を行っている。心なしか彼がうれしそうに思ったのは描いている本人だけだろうか…
しかし、それは思い違いだった。
「これぞ有名な某女子高の新体操部に入って身につけた技だ、喰らえ!」
ゴゴゴゴゴゴオッ!!
無数のリボンが兄弟に襲い掛かった。そして、ものすごい勢いで彼等をぐるぐる巻きに縛った。
ビュルルルルル、バシーーーン!!
「うわあっ!」

逆さづりにされるケムゾウ。

「オール奥義!逆さ地獄!」
オールのリボンがケムマキの足に巻きつきケムマキはあっと言う間に逆さ吊りに…
ギリギリギリギリ!
オールによって逆さ吊りにされたケムゾウは刀を取り出した。しかし、このリボンは思った以上に丈夫で刀で切ろうにも切れない。
「はははは、そのリボンは特殊な繊維で出来ているから刃物では簡単に切れぬぞ!お前等を縛り付けた後は会場に向かってクイズの邪魔をしてやる!」
「兄貴!」
木の根元でミイラ状態になった弟・ケムシが叫んだ。

木の枝に掛けられたリボンにぶら下がったオールが、ケムゾウを徐々に上へと上げていく。2人の目線ががちょうど同じぐらいの位置に来ると、オールは得意気にケムゾウをあざ笑った。
「ふっふっふっふ…どうした?ドングリまなこ。泣きそうな目をしておるな。もう、お前達に勝ちは無いぞ。さあ、降参しろ」
「…それは、どうかな?」
突如ケムゾウは帯に手を掛け結び目を解き、ケムゾウの下半身は袴ごとリボンから抜け出た。
「ぎゃあああああああっっ!!」
リボンの端の重みが急に無くなった為、反対側にぶら下がっていたオールは勢い良く地面に叩き付けられた。
デーーーーーン!!


地上に着地したケムゾウは、目から星を散らしているオールの頭上に止めの一発を食らわした。
バコッ!!
「ギュウッッ!!」
見事オールを倒したケムゾウの横に、服ごとリボンから抜け出たケムシが駆け寄って来た。
「やったな、兄貴!」
「忍者のオレ達が、そう簡単に縛り上げられると思ったら大間違いだぜ…どうでも良いが、ケムシ。何もフンドシまで脱ぐこたぁ無いだろう」
「そう言う兄貴だって…」
呆れ顔で見つめ合う下半身モロ出しの兄とスッポンポンの弟であった…(赤面)。

ケムマキ兄弟は普段着に着替えると、ミリオネアの会場に向かって駆け出した。
「もう筆記試験は終わってる頃だろうな」
「結果はどうなっただろう…?」
オールは地上に倒れたまま、走り去る兄弟を冷ややかに見つめていた。
『バカめ、ケムマキ兄弟…会場には、もっと恐ろしい刺客が待ち受けているのだ…』
果たして会場には、どんな罠が――!?


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