そのとき、巨大なパトカーがけたたましいサイレンを鳴らし、テレビ局に現れた。
「なんだ?あれは?」
「巨大生物!宇宙警察だ!大人しくしろ!」
「あれは?…確か…」
「ミリオネアの会場に巨大な影男が出現しました!推定5、60メートルはあると思われます…」
いつの間にかテレビ局の前には黒い人だかりができていた。
「フォースミゼット・変形!」
巨大パトカーは空に舞い上がり、空中で複数のパーツに分裂した。そして、再び合体し巨大ロボに変形した!
「完成!フォースミゼットロボ!」
ズシーーーーン!!
フォースミゼットロボはシャドーマンの前に立ちはだかった。
「ああ、お台●が特撮の撮影現場になっちゃった!」
タマがロボを口をあけたまま見上げていた。
「のんきな事言っている場合か!」
レスがタマをたしなめ、首根っこをつかんで引きずっていった。
「シャドーマン、あのロボをやってしまえ!」
その頃、ゾロはお☆場の屋上で両者の対決を眺めていた。
「さて、地球の神秘をじっくり見物させてもらおうか。」
「でやああああ!」ガツーーーーン!
「うわっ!」
ズズズズーン!
フォースミゼットロボはシャドーマンのかかと落としを喰らい、火花を上げよろめいた。このシャドーマン予想以上に身軽な奴でフォースは苦戦を強いられていた。
「ああ、このままじゃ、あのロボットがやられてしまう…」
人志がその様子を陰から覗いていた。
「ひとし!変身だ!」
ルビがいつものように人志に声をかけると怒鳴りつけた。
「あほか!お前、相手は数十mもあるデカブツなんだぞ!あいつから見たら俺は消しゴム人形同然だ!」
人志の言葉にルビとエルは不敵な笑みを浮かべた。
「ふふふふ、そう思って用意していたんだよ…例のものを」
人志はエルからあるものを手渡された。一見何の変哲もない瓶の牛乳だった。人志は怪訝そうな顔をして2人に聞いた。
「おい、もしかして、これを飲んだら背が伸びると言うんじゃないだろうな…」
人志の言葉にルビはにやりと笑った。
「ご名答。それは天界王さまからいただいた『対巨大な敵』専用牛乳だ。これを飲めばあの真っ黒くろすけと同じくらい大きくなれる!」
「じょ、冗談じゃねえ!俺は牛乳を飲むと腹が…」
「問答無用!」
人志が牛乳瓶から手を離そうとしたが、手が勝手にふたを開け、人志の口に瓶を持っていこうとしていた。
「うわああああ!!」
「お巡りさん…大丈夫だろうか…」
その頃、一同と共に戦いを見ていたケムゾウは、シャドーマンに苦戦するフォースミゼットロボを見ながら不安げに呟いた。それを聞 いた夕樹がケムゾウに尋ねた。
「キミ、あのロボットに乗ってる人を知ってるのかい」
「ああ。あれに乗ってるのは宇宙警察から来た宇宙刑事でフォース(通称ヨン様)という人だよ。オレと仲間達は、何度かあの人と一緒に 悪者をやっつけた事があるんだ」
「スゴイな…宇宙の警察と面識があるなんて…」
話を聞いた明は感嘆の声を漏らした。
「芥川。こうなったらオレ達もチャイルドXを出動させた方が良いかもしれんな」
「ダメだ、ケムゾウ。今日は遊園地が開業している。出動は無理だ…」
「ちょっと!みんな、あれを見ろ!!」
ケムシが指差した方角を皆が見ると、そこには何ともう1つの巨大な影が――
「あれは…人志さん!?」
皆が目の当たりにしたのは、フォースミゼットロボやシャドーマンに匹敵する程のサイズに巨大化した人志の姿であった(何故、服が破 れないのだろう?)。
「ぎゃああああああああっっ!!」
高見の見物で戦いを見ていた仮面ライダーゾロは、突然の事に驚いて奇声を発した。
「人志さん…以前からただ者じゃ無いとは思っていたが、あんな能力があったのか…」
「何はともあれ、これであの影野郎に対抗できるぜ」
「人志さーん!頑張れーっ!!」
一同がジャンボ人志に声援を送る傍らで、夕樹は1人考えていた。
「だが、気になるな…あの敵の親玉は、さっきこう言ったぞ。『総理もろとも会場を吹き飛ばす』と…」
で、話の総理はどうしているかというと、会場の入り口の前で例の司会者や潔、茂、そして『あすなろ』のOB達と共に、戦いを見守っ ていた。そしてケムゾウ達同様、人志の突然の巨大化に驚いていた。
「人志くん…先程、孤児院の前に捨てられていたと聞いたが、正体はM78星雲から来た宇宙人だったのか …」
…この総理、発想が突拍子も無い。やはり日本の最高の地位にのし上がるには、並の感性では務まらないのであろう…(笑)。
「間さん、頑張ってあの怪物に勝利して下さい!!あと最後の1問正解を出せば1000万円ですよー!!」
「人志くーん!必ず勝ってくれーっ!!」
その時、司会者やOB達がジャンボ人志を応援するのを会場内から冷ややかに見つめる者がいた。バレンタインである。
「ふっふっふっふ…バカな総理め、あんなところで戦いに見入っておるわ。今のうちに時限爆弾を作動させて、野次馬もろとも吹き飛 ばしてやる」
バレンタインは会場の舞台裏へ舞い戻り、ジュラルミンケースの蓋を開けた…が!
「な、無い!!この中には確かに時限爆弾が入っていた筈…!!」
慌てふためくバレンタインの後ろでケムゾウの声がした。
「オッサン!アンタが探しているのは、コイツかい!?」