ケムゾウ達は天界への扉を通って現世に帰って来た。
はってむだけは警察の死体安置所で復活したが、出所不明の貴金属を所持していた為に、そのまま刑務所に入れられてしまった…(汗)。
「ケムゾウ。今回の事、本当に感謝してる…ありがとう…」
「いやあ、これは空ちゃん自信が勝ち取った勝利だよ。神様は追いかけっこの最中にキミが議員達を諭しているのを聞いてたらしくて、オレ達に教えてくれたんだ」
「でも、そのきっかけを作ってくれたのはアンタ達だし…」
「オレ達は自分の考えでやったのさ。空ちゃんみたいな女の子には、やっぱりそれらしい姿であって欲しいからね…それにオレ達が働きかけなくても、空ちゃんはいつかは自分で気が付いて決起したと思うから、別に恩に着なくても良いよ。お陰でこんなにお宝ももらったし、感謝するのはむしろオレの方さ」
と、ケムゾウは背中に担いだ大きな袋を指して嬉しそうに言った(中身は傍目から見てガラクタに等しいような物ばかりだが:汗)。
「でも、これからは普通の女の子と同じって事になると、もう沖田さん達ともお別れって事かな…」
「大丈夫。シャオのテレポートでいつでも遊びに行けるから」
「そっか…」
考えてみれば、特権を与えられて育った空達が傲慢な性格にならなかったのは、一重に沖田達や空の『祖母』、空達を育ててくれた里親達など周囲の大人達のお陰であろう。感謝しなくては。
一方、こちらは童馬と鈴。
「これ返すよ。どうも、ありがとう」
「あら、受け取らないの?」
「何度も言うように、オレには心に決めた女がいる。これはキミの未来の彼氏の為にとっておいてくれ」
そう言うと童馬は鈴に例の紫の宝玉の付いたペンダントを返した。童馬の懐にはエリカに渡す為にもらってきた高価なブローチが光っていた。
『私も本当は翼に渡したいんだけど、翼は空一筋だし…』
「え?何か言った?」
「いいえ、何も…」
「それじゃあ、みんな。これからオレんちで改めてお祝いしようか!」
童馬の言葉に皆は賛成した。空も後から続けて言った。
「なら、ついでにみんなの分も祝おうよ」
「私達の未来に幸あらん事を祈って」
「レッツ・ゴー!!」
空では明るい太陽が彼らを祝福するかの如く輝いていた。
『天空の王女に捧げる二重唱』やっと完結致しました。この「二重唱」というのは、最初ケムゾウと童馬を表すつもりで付けたのですけど、ケムゾウ達とヘンリーくんを表す言葉に変更しても良いでしょうか?
ケムゾウ達の味方に人志くんとタマくんが加わりましたので、そのまんまの意味では「四重唱」になってしまいますし、天空の王女(空さん)の幸せを願う歌を捧げるというのなら、ケムゾウ達を一纏めにしたところへ、ヘンリーくんを付け足した方が良いかもしれないと思いまして…。
友斗さんの『吟遊行路』シリーズは天界、異世界、そして現世と3つの世界を又にかけたスケールの大きな作品ですが、中でもシリーズ3作目に当たる天野空さんが主役の話は一番読み応えがあるというか、一番考えさせられる話だと思います。現世に異世界の常識や思想が絡んできてキャラクターが尋常では無い設定になっているだけに、一層…。
当時深い知識の無かった私は、空さん達を『現世の子』だと思ってイメージを固めていましたので(名前からして日本人だし)、突如として彼女達が小学生にして権力職に就き大人の上に君臨しているという事、更に空さんは異世界の神様であるヘンリー氏の曾孫であり、世界じゃ2番目の偉さであるという事が判明した時の驚きは、ちと言葉に言い尽くせませんです、はい…汗)。
でも、しかし、BUT!!神様というものは本来すべての人類に平等な筈。神の血を引いているのは分るけど、全世界を治めている訳でもない空さんが何でこの世で2番目なんだ?という疑問が湧き上がり、この物語の舞台になっているのは一体どういう世界なのかと不審が募る一方でした。
その疑問も空さんが神の血を引いた現世の子では無く、生粋の異世界人それも天界の王女である事及び空さんの仲間達も彼女の親族の子供達である事が分ったので、見事に解消されました。世界で2番目というのは異世界での事だった訳で、空さん達が現世で権力職に就かされているのも要人として極秘に警護を受ける為だという事が分ったので、ひとまず納得したのであります。
でも、ここでまた1つの疑問がでてくる。何ゆえ空さん達が警護して下さる人達の上司に据え置かれなければならないのか?確かに空さん達は異世界では王族だが、現世では何の権限も無い(考えてみたら市民権さえ無い)子供達である。ストレートに捉えれば、こんな失礼な事って無い。
それも「王女様と家来」というなら可愛げがあるけど「上司と部下」というからイメージ的に壮絶な事この上無い。
で、その謎を解くのと、できれば空さんを普通の状態にしてやりたいと思い、私は今回の作品を掲示板に描き始めたのですが、原作者の友斗さんとしましては、この展開は如何でしたか?
原作の方では合作とは違う展開になっていると思われますので、機会がございましたらそちらの方も伺ってみたいですね。
では、今回ご協力下さったふくやまさん、友斗さん、オーレさん、本当にありがとうございました。これからもまた、よろしくお願いします。
上のA-chanさんが書かれたあとがきをそのまま掲載いたしました。合作の内容解説はA-chanさんのあとがきの通りだと思います。
最初はその10とこの11をひとまとめにしようかと考えていましたが、A-chanさんが後書きを書かれるということで、2つに分けました。
管理人の周りには文章が秀逸な方が多く頭が下がります。一方、管理人がこの作品に貢献できたかどうかはかなり怪しいですが(汗)
いつか管理人がメインになって話を書くときが来るかもしれません。それまで皆さんの文章などを参考にして勉強をしていきたいと思います。
それではありがとうございました。