「勝利をつかめ!いや違った勝利の石を取り戻せ!」その7「カーネリアンを取り返せ」

「取り合いはよせよ☆」キザ警官の出現に固まるスネ夫たち。

「君たち!取り合いは…よせよ☆」
「…」

スネ夫たちは突然のキザ警官の出現に固まってしまった。
空たちもその様子を見てあ然としていた。
「なんか、変な人出てきたけど…どうしようか」
空は戸惑っている様子だったが、童馬はきっぱりと言った。

「ペンダントを取り返すチャンスだ。空き地へ乗り込もうぜ!」
「おう!」
ケムマキと童馬は同時に叫んだ。


2人の巨人、現る。

ズシン!ズシン!ズシン…!!
スネ夫達のいる空き地に大きな断続的な地響きが響いてきた。
「なんだ?」
一同が振り向くと、そこにいたのは見上げるような巨大な2つの影!!ケムゾウ達の乗ったチャイルドXと巨大まさりんが一同を見下ろしていた。
「やい!!泥棒ガラス!!オレのカーネリアン返せ!!」
チャイルドXのコクピットの中から空が居丈高に叫ぶと、スネ夫のカラスのような口から悲鳴が上がった。
「ママ〜〜〜〜ン!!」

スネ夫たちは2人の迫力にクモの子を散らすように退散していった。
「まったく、だらしのない『カラス』でござる」
まさりんは呆れた表情で彼らを見送っていた。
「カーネリアンのペンダントはどこだ?」
「あ、あそこだ!」
2人(1人と1体?)の足元がきらっと光った。そこには小さなペンダントが落ちていた。


「よし、急ごう!早くしないと空ちゃんの恋人が来ちまうからな!」
チャイルドXはマジックハンドでペンダントを回収すると、巨大まさりんと共に空の家に向かった。
ケムゾウ達は空の家からやや離れた場所にチャイルドXとまさりんを待機させた。
「良かった。空の恋人はまだ来てないようだ。でも、もうすぐここに来るよ」
空の恋人・カミユの念波を探りながら心太が言った。

「ケムゾウ、ありがとう。これ返すよ」
空は肩に羽織っていたケムゾウの上着を返した。
「良いよ、これぐらい。それより早く家に帰らないと恋人が来るよ」
「ケムゾウ…」
「ん?」
「こんなオレの為に色々してくれて…本当にありがとう!!」

空にキスをされ、でれでれするケムマキ。

空はそう言うなりケムゾウの頬にキスした。
チュッ!!
「!!」
突然の事にケムゾウは頭がカーッと熱くなった。空が恥ずかしそうに走り去って行くと、ケムゾウは前後不覚に陥ってその場に倒れそうになった。

「おい、ケムゾウ!しっかりしろ!羨ましい奴だぜ、まったく…オレなんかエリカにさえ、まだやってもらった事無いのによ!!」
「腐腐腐…(汗)」
幸せそうなケムゾウを見て、童馬と心太が苦笑いした。
「わ、我ながら、思いがけない体験したぜ……でも、これで心残り無く空ちゃんを恋人に委ねられるよ…」
「ケムゾウ…」
「…2人共、空達の様子を離れて見ていよう。空の恋人はもうそこまで来てるよ」


ドレスを着る空とタキシード姿のカミユ。

やがて空の家の前にタクシーが止まった。その中からセピア色の髪の男の子がでてきて空の家に入っていった。
しばらくするとかわいらしい桃色のドレスを着た空と例の男の子が正装して出てきた。
「あのさ?変じゃないかな?」
「ううん似合うよ。かわいいね。」
「えーと、まず予約してたレストランに行くんだよね?」
「うん。父さん達は後から来るから先に食べてていいって」

ケムゾウ達はチャイルドX内のスクリーンで、この様子を見ていた。
正装した空の美しさには目を見張るものがあった。それは空の内面の美しさが輝きとなって滲み出ている分、彼女の外観を一層引き立てて見せていたからである。首に付けたカーネリアンのペンダントが良く似合っていた。
「空ちゃん、綺麗だぜ…やっぱり、お姫様だけの事はあるな…」
「馬子にも衣装。あれじゃあ普段、男言葉で雷ぶっ放すモーレツ姉ちゃんには到底見えねえな」
「うる星ぞ、芥川」
「へいへい」
空達がタクシーに乗り込み行ってしまうと、ケムゾウは仲間達に言った。
「さあ、オレ達も引き上げよう」

謎のタクシー運転手?

「どちらまで」
やたらと出てくる、この男はたしてなにものか?

レストランに向かうタクシーの中で…。

「レストラン『DORAPIN』まで」
「合点承知!」
カミユが行き先を告げると、キザ運転手はタクシーを走らせた。走るタクシーの中、空は何やら思い詰めた顔をしていた。
『ケムゾウ、さっきはゴメンね。オレもできれば普通の女の子で居たいんだけど、王位の回ってこないオレに対する曾祖父さんの気遣いを思うと、なかなか言い出せなくて…』

「…空も色々と悩んでるみたいだね…」
空の心を読みながら心太が言った。
「そりゃ、そうさ。女の子だもんな…」
童馬もしんみりと呟いた。ケムゾウは一人思った。
『空ちゃん。オレがこんな事をすればキミは怒るかもしれないが…オレは決めた!やる!!』
ケムゾウは何を決意したか気になるところだが、取り合えずこの場は締め括るとする。


今回の締め括りの場面には、ちょっと苦労しました。いえ、レストランの名前では無く(笑)(私は分かりました…管理人)こういう締めにして良いのかなーという決断にです。友斗さんの作品に私の考えを持ち込んでしまうと、友斗さんの作品観を損ねる危険があるかもしれないので悩んだのですが、これはあくまでも本編とは異なる合作の世界の事と割り切って、私の考えも皆さんに知って頂きたいと思い、次回作に続く形で閉じさせて頂きました。
次回作の出だしはただ今考慮中ですのでしばらくお待ち下さい。題名は『2人の悪魔、天界への挑戦!!』としておきます。では、よろしくお願いします。

2005年1月8日 A-chan


上の文章は最後の絵と文章をかかれたA-chanさんのコメントをお借りしました。
遅筆でログの編集をするので精一杯で私はあまり参加することが出来ません。合作の常連さんの中で、A-chanさんには特にお世話になっています。絵および文章など参考にさせて頂いてます。
合作は他の方とのコミュニケーションが不可欠だと私は思っております。この合作の部屋をご覧になっている方、そして、合作に参加されている方が居るからこそ合作が成り立つのだと思っています。
それではこの辺で締めくくりとさせていただきます。ありがとうございました。


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