「勝利をつかめ!いや違った勝利の石を取り戻せ!」その1「さらわれたペンダント」

恋人からもらったペンダントをカラスにさらわれた!

ある街に住む小学6年生天野空は、久しぶりにイギリスから帰ってきた恋人からもらったお土産の中身を見ながら歩いていた。
「ウワー綺麗だなぁ。カーネリアンのペンダント!」
と、そのときであった。
「カァァー!」
背後から鴉がペンダントを盗ってしまった!

カラスはあっという間に空の彼方に消えていった。
「あああ…じいさんにこのことがばれたらどうしよう」
空は風船がしぼんだかのようにしょんぼりしていた。


空ががっくりと肩を落として家に帰ってきた。空が玄関に入ると空の母が駆け寄ってきた。
「母さん、そんなに慌ててどうしたの?」
「空、あなたの彼氏から電話よ」
「えっ!」
空は突然のことに動揺した。

「もしもし…」
空はおどおどしながら受話器を取った。向こうから弾んだ声が聞こえてきた。彼氏だった。
「ああ、空ちゃん、僕だよ。あれ届いた?」
「あ、ああ…」
カラスに盗られたともいえず、空はしどろもどろになってあいまいな返事をした。

「で、どうしたの、電話なんかして」
空は心ここにあらずの状態で聞いた。
「今、××空港に着いたんだ。君のうちには2、3時間で着くと思うけど。」
「く、空港?」
空は仰天した。まさか、日本に遊びに来ているとは夢にも思っていなかった。

「あ、あの…」
「ペンダントつけている君、見たいな、楽しみにしているよ」
プー、プー、プー
「…」
空は受話器を持ったまま、呆然と立っていた。
「どうしよう…」

カーネリアンのペンダント

妖精マサボー、再登場!

「空、心配いらないよ、ボクがカーネリアンを取り返してあげる。」
「あなたは?」
前回の「異次元の不思議な友達」に登場した妖精マサボーが現れた。
「出でよ!海の精霊獣・まさりん!」
なんと!マサボーは空と同じように精霊獣を召喚した!

海の精霊獣、まさりん!

え?これが?まさりん?海の精霊獣なのに?何故?翼が?
「まさりん!カーネリアンを取り返すんだ!」
「ういーす」
まさりんと呼ばれた精霊獣はだみ声で返事した。

バサバサバサ…
はげ頭の小さい親父がコウモリの羽のようなものをつけて飛んでいた。
「…あの、精霊獣って、これ?」
空はひきつった表情でまさりんを指差した。

「そうだよ…えっ?!」
空は今にも爆発しそうな表情で、わなわなと震えていた。空は怒りが頂点に発すると雷を起こす能力を持っているのだ。彼女の周りにはバリバリと稲光が光っていた。
「わわっ!探しに行ってくるから!」
マサボーとまさりんはただならぬ殺気を感じたのか、空の許を慌てて離れ、空へ飛んでいった。

(大丈夫かな…)
空は頭を抱えた。時計は30分を経過していた。


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