ロブスターは北条が来るのに気づき、ムチをすばやく斬った。
「この坊主がぁ!」
「かああああ!海渡り蹴りいいいい!」
「ビイイイエエエエエエ!」
北条の海渡り蹴りがロブスターの腹に炸裂した。
「おお!あれを見ろ!」
「海の上で激突だ!」
「池の上ですが…」
「白熱しているのに水をさすな!」
フレイヤの突っ込みにツバサが一喝した。
(本当のことなのに…)とフレイヤは思った。
北条の奥義によって、ロブスターは海…いや池に…たたきつけられた。
キザは池に向かって叫んだ。
「トレビアーン!」
トレビアーンとはどうやらキザの乗ってるイルカの名前のようだ。
「トレビアーン」はキザが叫ぶとタマを乗せたまま猛スピードで泳ぎだした!
「な、何なの?」
トレビアーンはロブスターを持ち上げ空高くジャンプした。
「よーし、いくぞ!」
ロブスターはイルカにもてあそばれるボールのごとく、ぽんぽんと跳ね上がった。
「こら!何をする!」
タマはひれにしがみついたまま、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
「ひいいいい〜」
タマはずぶぬれの状態でキザの様子を見ていた。
「あっ!」
「とおー!」
ほ〜ら♪ご覧よあの雲も♪幸せそ〜な♪いろしてる〜♪
キザは自作の歌を歌いながら、舞い上がり、くるりと1回転した。
「キザ・キイイイイック!」
「ビイイイイイエエエエエエ!」
ロブスターは薔薇の花びらと化し散っていった。
「やったな!キザ!」
ツバサが真っ先にキザに駆け寄った。
「いやあ、それほどでも…」
(お前はクレ●ンしんちゃんかよ…)
相変わらず突っ込みをするサンダーだった。そして…。
「家の庭を守ってくれてありがとうよ、キザさん…あのさ、まことに言いにくいんだけど…」
「なに?しまじろうくん?」
「俺はサンダーだ!お前らのお陰で俺んちの庭がめちゃめちゃになってしまったんだよ!どうしてくれる!」
サンダーは「しまじろう」と言われカッとなり、機関銃のごとくキザを責めまくった。
「そいつはどうかな?しまじろうくん、それは庭一面を見渡してから言ってみては?」
そこには一面の薔薇畑が広がっていた。
「どうだい?純和風の庭もいいがこういう庭もロマンチックだろ?」
自信満々なキザの傍でサンダーは言葉が出なかった。
「おい!十文字!あいつになんか言ってやれ!」
十文字はキザの傍につかつか歩み寄った。
「なんとすばらしい!私は感動いたしました!」
「おお、きっと趣味があいますなぁ、そもそもガーデニングとは…」
十文字とキザはがっちりと握手をし、庭について語り合っていた。
「このこの!この悪党め!」
ピーポーピーポー
「あっ!石川たちだ!キザ!帰るよ!」
「ほう、石川様のお出ましかい。そんじゃ十文字さん、サイトの諸君、世話になって、かたじけない、俺たちは失礼するぜ。あんた達も退散なさったほうがいいぜ。」
「うむ、また会おう!」
ツバサは戦闘員を縛り、キザたちはあっという間に庭から立ち去った。
「…なんだったの…今は」
「さぁ…」
「ところで、何であの人達、逃げなくてはならないんでしょうねぇ…」
「さぁ…」
誰も知りたいとは思わなかった。
やがてサイトに警察が来た。
「ご協力感謝いたします。いや、こいつらしょっちゅう現れるもんだから、大変でね…。君達も災難だったね。」
(いえ、俺たち、これでこいつらにあうの3度目ですよ…)
アフロ頭の石川刑事は頭をかきながら話をした。
「ねぇ、おじさん、その頭どうなっているの?見せてよ!」
「こら!何をするんだ!」
「刑事さん、その頭、ヅラじゃないの?」
猫型宇宙人は石川刑事の頭に群がっていた…。
「自分は…竜です。猫君たち、石川をやるのはやめて下さい!代わりに…自分をやって下さい…自分はこれでも寂しがり屋です…」
突然、パトカーから石川の同僚らしき刑事が現れた。猫達は「自分」という刑事にびっくりした様子だったが…。
「やだ、この頭、面白いもん!」
タマはなおも石川刑事のアフロヘアーを触りまくっていた。
「おお!厚みがあるぞ!見ろ、手が中に入る!」
「30センチ定規じゃ足りそうにありませんねぇ」
猫達は竜が注意するのを聞かず、石川はされるがままだった。
「竜、いつものことだ、慣れているさ」
「よし!連行しろ!」
「はっ!」
石川刑事はさんざん頭をくしゃくしゃにされ、ようやくパトカーに乗り走り去った。
「あのおじさん、面白かったのに…」
「お前はどうしていつもそうなんだ!」
「そういいながら、お前も一緒に遊んでいただろう…」
「十文字!何やってんだよ!」
「坊ちゃん、何かおかしいですか?」
ロブスターの事件から、数日が経過した。あの事件は、サンダーの庭に大きな変化をもたらした。キザがバラを植えただけでなく、十文字の庭木の作品にも影響が出始めた。謹厳実直な十文字にはかなりのカルチャーショックだったらしい。
「ああ、なんてこった…テレビチャ●ピオンではあるまいし…」
サンダーは頭を抱えた。
「僕は面白いと思うけど…」
「ふむ、特にあのアフロの刑事の庭木など特徴が出ているぞ」
「私は、ザリガニの方が…」
「お前ら、好き勝手なことばかり言って!」
一方、バラの畑や十文字の庭木はサンダーの両親、雷組(管理人註・サンダーの父の経営する会社)の従業員にはかなりの好評らしく、いずれはこの庭をアピールするためにTV宣伝する予定らしい…。
やっと終わりました。
今回は管理人はほとんど文章に徹しました。
ラストはかなり苦しいと思いましたが、それなりに楽しかったです。
絵を描いてくださったオーレさんに感謝します。ありがとうございます。