ふくやま・オーレ・A合作
「フラワー児童の逆襲」
「間さ〜ん。お届けものです」
おや?人志にお届けものが。
「人志、あなたにお届けものよ」
「えっ?オレに?」
人志は、その箱を自分の部屋に持ってきた。
「宛て先は誰だろ……『ワルワル団』?なんだ、こりゃ?」
その時、天使・エルと悪魔・ルビが同時に現れた。
「ひとし!明けるな!とんでもない事が起こるぞ!」
「ひとしさん!その箱は危険です!」
「どうしたんだ?お前ら、珍しく意見あってるじゃないか。雪でも降るんじゃないのか?」
「ここは雪国です!雪が降って当たり前ですよ!」
突っ込みどころ違うぞ、エル。と思いながら、2人の忠告を無視して箱を開けた……。
「な、なんだ、これ?」
人志は目が点になった。
「子供?」
「間さん、こんにちは。私、フラワー児童って言うの。どうしてあなたに会いに来たのかというと、それは、あなたが……
うまそうだからじゃ!しゃあああああああああ!」
「ぎゃあああああ!」
なんて事だ!ワルワル団のフラワー児童は頭から舌を出して人志に迫ってきた。
「ああ、いわんこっちゃない!」
「ひとし、変身だ!」
「えっ?ドラマでは、そこまで進んでないんじゃ?」
「そんな事言ってる場合か!早く変身しろ!このままではお前は食われちまうぞ!今回は特別だ!」
「わ、わかった!」
人志は変身のポーズを構えた。
「ザ・デス・ビー・リボーン(死神よ、よみがえれ)!!!」
突然、光が走った。フラワー児童は目を覆った。
「な、何だ!」
「天と地の間を護る、天地の戦士、ただいま見参!」
フラワー児童は驚愕した。
「お、お前!変身できたのか!」
「うるさい!本当はまだ先だったんだが、おまえが来たから予定より早く変身する事になっちまったんだよ!」
「管理人の予定まで言わないで下さい!」
「クククク……おとなしく食われちまいな……」
「そうはさせるか!」
人志はフラワー児童に飛び掛った。
「ひとし!」
悪魔・ルビが叫んだ。
「まてー!」
人志は、いきなり誰かに止められた。
「弾丸マイッタ参上!フラワー児童!貴様に参ったと言わせて見せるぞ!」
「こしゃくな〜!」
「だ、誰?」
「私はマイッタと申す者。人志くん、初めまして」
天使・エルと悪魔・ルビは、ピアス型ヘッドホンから人志に話しかけてきた。
「あいつ、誰だ?」
「ひとしさん、もう、次から次へとここに来て訳わかりませんよ……」
「あの……マイッタさん、どうしてここへ?」
人志はおっかなびっくりで声を掛けた。
「人志くん、奴をむやみに攻めてはいかん。このTシャツに見覚えがあるだろう?これはケムマキくんの弟の物だ。私はこれをA-chanくんのサイトで拾った。ケムシくんは、おそらく奴の腹の中にいる。だから奴を倒す事より、ケムシくんを救出するのが先だ!」
「そ、そんな……。まさか先に子供が食べられていたなんて」
マイッタの一言に人志は動揺した。
「どうすれば良いんですか?」
「ひとし、どうする?」
「とにかく、この人のアドバイスを聞くしかないよ」
人志はマイッタの話を聞く事にした。
「で、でもあいつの腹の中にケムシくんがいるなら攻撃しようがないですよ」
「人志くん、落ちつきなさい。こういう時こそ『心の目』を使うのだ」
むちゃくちゃ言うな、このオッサン……と内心、人志は思った。
(あのー……。人志くん、私が思うにマイッタさんは少なくとも、まだ『お兄さん』だと思います:A-chan) (笑)
その時、天使・エルの声が右耳から聞こえた。
「ひとしさん!額の装飾を押して下さい!」
「えっ、これ?」
人志が額の装飾を押すと、目の前にゴーグルが出現した。
「こ、これは?」
「それでフラワー児童の体の中を透視できます!」
「ようし……」
ビビビビビ……。
ゴーグルにはいろんな文字が表示され、ゴーグル越しに映るフラワー児童の体がだんだん透けてきた。
「……あっ!」
「人志くん、どうした?」
何が見えたのか!?
人志がフラワー児童の体内に見たのは、ケムシとは似ても似つかない別の少年だった!!
「くっそぉーーーーっっ!!ケムシから普段着に着ろってTシャツ貰ったら、いきなり化け物に飲み込まれちまった!!どうなってやがる!?」
あーっ!!なんてこった!
ケムシだと思ったら、彼はA-chan創作の逆オスカル幼稚園児・国生明菜!!(と言っても、今回は男子バージョンだが……)
これはとんだトバッチリだ!
「何なんだ、あの子は!?ケムシくんとは別人じゃないか!!」
「何だって!?そりゃ参った!!」
「あんたが参ってどうするんだよ!!」
「おかしいなあ……このTシャツは確かにケムシくんの……」
マイッタは予想外の展開に動揺した。そもそも、彼は仮面をかぶっているから表情まではわからないのだが。
(仮面の下は汗でびっしょりです:笑)
「人違いでも食われている事には変わりありません!早く何とかして下さい!!」
人志は大丈夫なのか……と不安になった。
人志とマイッタが言い合いをしていると、黒ずくめの二人の少年が現われた。
「Aの要請で、あんた達の応援に来たぞ」
「ああ、Mr.ブラックK来てくれたんだね。もう一人の子は?」
「こいつはオレの弟、Mr.ブラックK.Jrさ」
「よろしく!!それより化け物の腹の中の奴、助けなきゃな。どうもあいつ、オレのトバッチリを受けたらしいから」
「それ、どういう事?」
「あ、いや、こっちの事……」
「予想外の展開となってしまったが、ケンカをしている場合ではない!みんなで作戦を考えよう!」
4人は無い知恵を搾り出して……いや、一生懸命作戦を考え始めた。その頃、国生さゆり……いや、明菜は……!?
「早く、オレをここから出せーっ!!」
4バカ……いや、4人のヒーローが作戦を立てている時、人志が他のヒーローに質問した。
「あのー、オレどうも納得いかないんですが……」
「どうしたんだ?人志くん?」
「フラワー児童の奴、箱に入っていたくらいに小さかったのに、どうやって明菜くんを食べたのか……どうしてもわかんないですよ」
するとBKが人志に言った。
「天地の戦士、それは奴が伸縮自在な上に、胃袋が四次元空間になっているからだろう」
「そうなのかい?」
「ああ、経験者は語る。この間、奴がオレを飲み込もうとした時、オレは奴の胃袋の中を見たんだ。体が小さい割には、人間が二人分は入る位広かった」
「そうか。では、フラワー児童は、まだあと一人は飲み込める訳だな」
と、マイッタが言った。
「うん、だからオレ考えたんだけど、この中の誰かが奴に飲み込まれて、オレが脱出する手段として使ったように、奴の中にトンガラシや虫をぶち込む。そして奴が吐き出そうとした瞬間に、国生と一緒に脱出するって方法はどうかなあ……って」
「なるほど、それは良い考えだ」
「さすが兄貴、頭がさえてる!!」
「いやあ、それ程でも(あるよ)」
そこへ人志が口をはさんだ。
「でも、結局誰がその大役を引き受けるんですか?」
「……」
鳴呼……、イソップという人は良く言ったものである。一体誰が進んで猫の首に鈴を付けに行くのだろう?こりゃ参った……(笑)。
マイッタは全神経を集中して案を考えた。
「……!そうだ!Mr.ブラックK!キミがフラワー児童に飲み込まれそうになった時に持ってたコショウ、今でも持っているか?」
「ああ、持ってるよ。今回のは特別製だぜ。七味唐辛子をたっぷり混ぜといたからな。いひひひ……」
「みんな気を付けといた方が良いぜ。この兄貴は性格悪いから」
「うる星!余計な事言うな!!本当のところ良い案が浮かばなかったら、お前に食われてもらうつもりだったんだぞ!!オレのスーツは洗い立てだし、もう二度とあんな気持ち悪い目に会うのはまっぴらだからな!!」
「ひでぇ!!あんた、それでも兄貴か!?」
「文句を垂れるな!!そもそも国生があんな事になったのは、お前が自分のとお揃いの女物のTシャツなんかやるからだ!!お前には男としての自覚があるのか!?お恥しい!!」
「女で育てられてる男に女物のシャツをやって何が悪い!?第一オレにはそっちの気は無いぜ!!どっちかと言うと兄貴の方が危ないんじゃないか!?」
「なっ、なんだとぉ〜〜〜〜〜っっ!?もう一度言ってみろ!!」
「ちょっと待って」
またまた人志が口をはさんだ。
「BK.Jr。話を聞いてると、キミがこのシャツを国生くんにプレゼントしたらしいけど、ケムシくんのシャツをキミが持っているのは一体どういう事?」
「あ。そ、それは、オレがケムシから貰ったんだよ。あいつに悪いから受け取ったけど、オレにはその気が無いから国生に上げちゃった……」
「ふーん……」
「(ふーーーーーっ!!何とか誤魔化したぜ)」
「キミ達、内輪揉めは良いから早くコショウを貸しなさい!!(ホントにこの子達には参った!!)」 (笑)
マイッタが、せかした。
「その前に、人志くんは顔が露出している。マスクをした方が良い。コショウが飛び散る」
「あ、これはどうも」
人志は思わず恐縮した。マイッタは以外にも気が利く。
「さあ、準備万端だ!掛かって来い!」
「ケケケケ、何を企んでるか知らないが、お前も食ってやる!」
マイッタはフラワー児童に向かって行った。
「だあああああっ!」
マイッタはジャンプした。
「へへへ……ジャンプしてオレの目をくらまそうとする魂胆だろうが……な、何?」
マイッタの姿が見えない?どうした事か?
「そうか、コショウで姿を隠したんだ!」
コショウの中にマイッタの姿が見えるのが、お分かりになるだろうか?
「くっ……どこだ!!」
フラワー児童は狼狽した。
「マイッタ反転コショウアタああああああっク!」
コショウの煙がベルトのバックルの風で一気に吹き飛ばされ、マイッタの姿がフラワー児童の目の前に飛び込んで来た。
「しまった!!」
マイッタは、フラワー児童の口の中にMr.ブラックK特製のコショウをぶち込んだ。
「へへえくしょおおおおおおん!」
フラワー児童は明菜を吐き出した。
特製のコショウを口の中にぶち込まれたフラワー児童は、あまりの辛さに苦しんでいた。
「ぐえっ……なんだ!この辛さは、み、水をくれぇ……」
「国生!無事だったか!」
ブラックJr.が明菜の元に駆けつけた。
「畜生!踏んだりけったりだぜ!ケムシからTシャツをもらったお陰でこんな奴に食われちまってよ!」
明菜は人志=天地の戦士の方を見た。
「こいつ誰だ?」
「ああ、お前を助けるために来てくれた天地の戦士だ」
「こいつ……女か?」
人志は明菜の言葉にムカッときた。いくら中性的な顔をしているとは言え、女と呼ばれたのは初めてだった。
「なんだと!せっかくお前を助けてやろうと思って必死になっていたのにその言い方は!お前だって明菜って名前だろ!」
「明菜って呼ぶな!」
ボカッ。明菜は人志を拳骨で殴った。
「アタタタ……なんだこのガキは……」
明菜を吐き出したフラワー児童は緑の粘液を吐き、自分に吐きかけ繭になった……と思ったら、今度は別のワルワル団が現れた!
「貴様!何奴だ!」
「私はワルワル団幹部・弓矢使いホレボレ。私はこの繭を取りに来たのさ。あんた達知らないのかい?フラワー児童がうちの幹部候補だって事を……。じゃあ、私行くから」
「まて!」
ホレボレは姿を消した。
「な、何だ、あの人は……」
「それにしても、きれいな人だっただったな……」
「バカ!何、鼻の下、伸ばしてんだよ!」
ブラックKがJr.に注意した。
「とにかく、ありがとうございました。お陰で助かりました」
「いや、礼には及ばんよ、人志くん。ワルワル団が来たら、いつでも呼んでくれたまえ」
できれば二度と呼びたくない……。人志は内心そう思ったが、とりあえず感謝した。
「お前、どこかで見たことあるなぁ……」
明菜は胡散臭そうにJr.の姿を覗き込んでいた。
「い、いや、他人の空似だろ……」
「背丈も声も、あいつに似てんだよな……。ケムシめ、今度会ったら一発ぶちかましてやる!」
Jr.は顔面蒼白になった。もっとも仮面をかぶってるので表情まではわからないが。
「じゃあな!天地の戦士!」
マイッタとMr.ブラックK&Jr.兄弟はその場を去った。
「なんだったろ……今の……。ああ、疲れた」
人志はようやく変身を解いた。
「これ、反動が大きいんだから、あまり使いたくないんだけどなあ……」
「なに言ってんですか!正義の味方がそんな事言ってどうすんです!」
「ひとし!お前の敵は他にもいるんだぞ!」
できれば普通の高校生でいたいよ……。そうぼやく人志だった。
〜終わり〜
蛇足:これは事件の終わった後の事……。
「おいおい、お前何を武装してるんだよ?」
「国生の襲撃に備えてるんだい!!」 (笑)
これは「福禄堂本舗・展示室(オリジナル)」のお絵かき掲示板で偶然生まれた作品です。
オーレさんの絵に始まり、A-chanさんと私管理人が話を付け加えてこうなりました。
A-chanさんがわざわざ編集してくださり、私に送ってくださったのをアップいたしました。
ありがとうございました。